任意整理ができる場合とできない場合
1 任意整理は法的手続きと異なり交渉による手続き
任意整理は自己破産や個人再生といった法的手続きと異なり、あくまで「任意の」交渉による手続きです。
つまり、法律上任意整理という手続きがあるわけではないので、借入先が任意整理に応じる義務はないのです。
そのため、任意整理をしたいという旨を伝えても、もし相手が絶対に応じないという姿勢をとっているのであれば、任意整理は成立しないということになります。
任意整理にはこうした性質があるため、任意整理ができる場合、できない場合というものが出てきます。
2 任意整理に応じない会社
とはいえ、全国に展開しているような広く知られた金融業者であれば、任意整理に一切応じないということはあまりありません。
他方で、一部の地方でのみ営業しているような小規模な業者などの中には、任意整理には応じないと明確に示している会社もあります。
そうした会社から借入れを行っている場合は、その会社だけ任意整理の対象から除外するか、任意整理以外の法的手続きを検討した方がよいでしょう。
3 返済条件の折り合いがつかない場合
任意整理は、月々の返済額や以後の利息の支払いなどの条件を見直す手続きです。
交渉ですので、こちらの意向を相手が無制限に受け入れてくれるわけではなく、条件の折り合いがつくことで任意整理が成立することになります。
一般的には、残元金を3年から5年で返済するという条件で和解が成立することが多いですが、これまでの返済実績によってはより短い期間での返済を求められることがあります。
例えば、まだ半年程度しか返済していないような場合だと、長期の分割払いには応じてもらえず、1~2年の短期で返済するという条件でなければ和解に応じてくれない、といった具合です。
残っている債務額を合計し、5年60回払いで払う場合には返済していけそうだけれども、3年36回払いになると毎月の返済が困難になる可能性があるという場合、一般的には任意整理ができる(成立する)見込みはあるケースになると思いますが、すべて1~2年しか返済していないようだと、任意整理は難しいかもしれません。