奨学金を任意整理することはできるか
1 奨学金の任意整理
奨学金を借りて大学に通ったという人は多いですし、学費全額を奨学金で賄ったということであれば、その金額も多額になっています。
奨学金の返済が始まったものの、経済的に生活が苦しいという状況にある場合、奨学金を任意整理できないか考える人も多いかと思います。
2 任意整理の特徴
任意整理を行うと、元金こそ減らないものの、将来利息がなくなる、あるいは減らしてもらうという条件を認めてもらえることが多いです。
また、長期の分割払いを認めてもらうことで、現在の毎月の返済額と比べて、月々の返済額を下げることが期待できます。
3 奨学金の特徴
奨学金は、無金利か低金利での貸し出しになっているのが通常です。
そして、金額が大きいということもあり、かなり長期間で返済をしていくスケジュールになっていることが多いかと思います。
また、親族などの自然人の保証人を立てるか、手数料を払って機関保証を立てる形式になっているのが一般的です。
4 奨学金を任意整理するとどうなるか
⑴ 任意整理を行うメリットがほとんどない
ここまで見てきた任意整理の特徴と奨学金の特徴を合わせて考えると、奨学金は元々無金利か低金利での貸し出しである以上、任意整理の将来利息のカットという恩恵がほとんどないということが分かります。
また、元々長期分割払いが予定されている以上、任意整理を行ったとしてもそれ以上に長期間の分割払いになることは考えにくく、月々の支払額の減額という恩恵もないということが分かります。
⑵ 保証人に請求が行われる
さらに、親族などの自然人が保証人となっている場合は、任意整理することを表明した時点で保証人に対して請求がいくことになります。
そのため、もし保証人に事情を話していないのであれば、この時点で事情が露見することになってしまいます。
5 奨学金を任意整理することはできるか
以上の通り、奨学金については任意整理を行うメリットが基本的にないということがわかります。
そのため、奨学金を任意整理することはできるか、という問いに対する回答としては、できはするものの、任意整理してもメリットがない以上、通常は任意整理の対象にしない、ということになると思います。